小林拓也氏と杉浦章氏は、会議運営の6つのルールを策定した


INAX、会議時間を3割削減 :日本経済新聞



建材・住宅設備大手のINAXは現在、生産性向上をめざす「HANBUN(半分)活動」の一環として、会議の効率化に取り組んでいる。

 2009年初めにコンサルタントを使って会議状況を調査したところ、全社に1214の定例会議体があり、社員が会議に費やす時間は年間で延べ35万時間に上っていることが分かった。5800人の正社員のうち、180人が就業時間中に1年間ずっと会議をしている状態に相当するという。

「何について話し合い、何を決めるのかという目的意識があいまいなままに会議が招集され、会議の進行が効率的でない」「情報伝達ばかりで、議論がなされていない」「資料を読みふけり、議論に参加しないメンバーがいる」「前回の会議での決議事項が周知されず、議論の前提となる事実認識がメンバー間で食い違う」――といった具合だ。

こうしたムダを取り除くため、HANBUN活動の事務局を務める経営企画部社長室の小林拓也氏と杉浦章氏は、会議運営の6つのルールを策定した。「会議目的の明確化」「参加者の厳選」「議案ごとの資料作製」「会議資料の事前配布」「資料の事前読み込み」「議事録の作成・配布」である(詳しくは図を参照)。

 さらに、社員に6つのルールの順守を促すため、情報システム部門と連携して「標準会議システム」を開発した。このシステムでは会議の議題や資料などの情報を管理し、会議準備のワークフローに沿ってメンバーに働きかける。

同社が定めた会議運営の6大ルールは会議に忙殺される企業すべてにとって参考となり得るが、実践を促す仕組みがなければルールを遵守し続けることは容易ではない。INAXはIT活用によってこの課題を克服しつつあるのだ。また、経営会議でまず実績を作ったことが、標準会議システムをより多くの会議に導入する際の現場の抵抗感を減らすことに一役買っている。