レベッカ・ゴールディンさんは警告
「巨大な情報データベースを使ってあれこれ試してみれば、面白そうな結果を出すのは簡単です。分析結果はポンと出てくるのですが、まったくの偶然による、出まかせの結果であることもあるのです。」とゴールディンさんは語ります。「ある発見が公表されると、第三者がそれは真実でないと指摘するのも今や非常によくあることです。」
と、ジョージ・メイソン大学の数学者であり、さまざまな統計情報を扱うSTATS.orgのボランティアでもあるレベッカ・ゴールディンさんは警告。
以下では、そんな研究から発見された、一見不思議なんだけど信頼できる健康リスクをご紹介します。
指の長さ
少なくともふたつの遺伝子(HoxAとHoxD)が子宮における精巣の発達を担っていて、精巣ではテストステロンが作り出されます。が、これらの遺伝子は手の発達も支配しています。とくに人差し指と薬指です。
British Journal of Cancerに掲載された以下の研究によれば、指の長さと前立腺がんとは明らかに強い関係があるそうです。その内容は、もし人差し指が薬指より長ければ、前立腺がんになる可能性が低いというものです。
「奇妙なようですが、あてずっぽうではありません」と話すのは、ロンドンのがん研究協会(Institute for Cancer Research、ICR)のがん遺伝子学者で、上記研究の共著者であるロザリンド・イールズさんです。
イールズさんとそのチームでは、前立腺がん患者1500人と、無作為に選んだ人3000人を比較しました。家族健康歴やその他の要因を無視するとと、60才以上の男性で人差し指が薬指より長い人では、前立腺がんになる確率が平均して33パーセント低いという結果が出ました。さらにそれより若い年齢層では、人差し指が長い人は前立腺がんのリスクが87パーセントも低いことがわかりました。
握力
25年間で45歳から68歳の男性6000人を調査した研究によると、握力はその人が障害を持たずに生きられるかどうかを予測する際にもっとも使える要素だそうです。握力がいちばん弱かった人は、いちばん強かった人の2倍、障害を持つ確率が高かったのです。またより高齢の男女を対象とした別の研究では、握力が強いことと長命であることは相関していた
歯みがき
歯と歯の間が汚れていても、病気とは関係ない…という気がしますが、研究に次ぐ研究の結果、口中の慢性感染症(いわゆる歯周病)は、冠性心疾患のような循環器系の病気のリスクを高くする
生まれた順序
「さまざまな研究において、第一子はより高いレベルのエストロゲンにさらされることが示唆されています。エストロゲンは精巣がんのリスクを高める物質です。が、これについては決定的にはまだ証明されていないのです。」とラプリーさんは語ります。
「小児白血病のリスクには、ウイルスや風邪、バクテリアとの接触と関連があると示唆されています。」とラプリーさんは言います。最初に生まれた子供には兄弟がいないため、そうしたウイルスなどとの接触の機会が少なくなります。ラプリーさんによれば、「保育所などに早い時期から通っている子供では、家にいる子供より小児白血病になる可能性が低い」そうです。