友子さんと過ごした濃密な時間を、かけがえのないものだと思う

 埼玉県蕨市出身の若菜友子さん(22)は、この夏から米ハーバード大大学院に入学、教育学を学ぶ予定だ。ハーバードだけでなく、ペンシルベニア大、英オックスフォード大、ケンブリッジ大などからも入学許可を得た。


 お茶の水女子大附属高校在学中に、オクラホマ州の高校に交換留学したのを契機に、高校卒業後はそのままアーカンソー大学に進学、心理学を学んだ。将来は、「英語を母国語としない学生向けの英語教育カリキュラムの作成などにかかわりたい」(友子さん)という。


 友子さんは帰国子女ではなく、ネイティブスピーカーでもない。小6まで本格的に英語を勉強したことはなく、セサミストリートのビデオを見て楽しんでいた程度だ。印刷会社に勤める父・啓一さん(53)、専業主婦だった母・幸枝さん(49)ともに海外生活経験は皆無だ。


(中略)

 幸枝さんが重視したのは、「五感を使って親子で楽しむこと」。童謡の本があれば、一緒に歌うだけでなく、歌に合わせてピアノの鍵盤を叩き、挿絵にすべて色を塗った。一緒にスーパーに買い物に出かけるときは、道すがら、「昨日と違うもの」を見つける「今日探し」に親子で熱中した。具体的なモノの名前を覚えさせるよりも、名もない雑草のような、幼い友子さんの目に映る「新しい世界」を大切にした。


(中略)

 英語の勉強は小6から。近所の塾に通って英検5級を取り、自信がついたので、中学の授業は楽しかったという。初めて本格的に受験勉強をしたのは高校受験の時だが、「母に『勉強しなさい』と言われたことは一度もないです」(友子さん)。


 子どもに手がかからなくなったので、幸枝さんは介護の勉強を始めていた。「何も言わなくても、親の勉強する姿を見て、子どもも自然と勉強することの意義を感じてくれたのだと思います」(幸枝さん)。


(中略)

 前出の幸枝さんは、友子さんと過ごした濃密な時間を、かけがえのないものだと思う。読書記録や友子さんがお絵描きしたスケッチブックはすべてとってある。でも、肝心の友子さんは、就学前のことはあまりよく覚えていないという。


「それでいいんです。私のした教育は、この子にとって日常であり、自然であり、何のストレスもなかったということだから。それが私の子育てにおける、最大の成功だったと思います」










娘はハーバード 母の「千冊読破」教育(AERA) - Yahoo!ニュース