ユダヤ人というだけで、ナチス・ドイツからひどい扱いを受けました


1/2成人式によせて



昨年、「1/2成人式にあたって、お子さん宛てに手紙を書いてほしい」という先生からのお願いがあった。PCで下書きをしたものを便箋に書き直したので、その原稿がPCに残っている。


自分では力作だと思っているので、子供の名前の部分を消したものを、記録として掲載する。日本の終戦記念日である8月15日に思い出したのも、何かの縁かもしれない。



1/2成人式おめでとうございます

早いもので、○○が生まれてからもう10年になります。成人式をむかえる20歳の誕生日は、今までの10年よりも早くやって来るのだろうと思います。

○○が生まれたとき、家族みんなが喜んでくれました。そして、「かわいい」と言って、愛情を注いでくれました。○○にとって一番いいことを、みんなで考えて、行動しています。みんなにとって、生まれたときから今までずっと、○○は大切な存在です。ありがたいことに、幼稚園でも学校でも、○○に関わるすべての人が、○○をとても大切にしてくれています。

お母さんには、○○が生まれる前に読んで、とても感動した本があります。それは、ヤヌシュ・コルチャックという人のことを書いた本です。コルチャックはポーランドに生まれたユダヤ人で、孤児院の院長をしていました。彼は第二次世界大戦中に、ユダヤ人というだけで、ナチス・ドイツからひどい扱いを受けました。最後は、自分だけが助かることはせず、孤児院の子どもたちと一緒に殺されることを選んだ人物です。

その本を読んで、お母さんは、日本という恵まれた平和な国に、人々から愛される子どもが生まれるのは、とても大切だと思いました。そして、その子どもが、世界に争いのない場所が少しでも増えることに役に立てる人になるといいな、と思いました。

そういうふうに考えていたのが通じたのか、○○は、お母さんが願ったように、平和を大切にする気持ちを強く持っていて、とてもうれしく思っています。優しい心の持ち主の○○を、みんなが愛しています。

これからの10年間で、友達の間に、それだけでなく世界中に、どうすれば平和が広がるかも、考えられる人になってほしいと願っています。10年ではなく、ずっと考えなければならないことかもしれません。ですが、平和を大切にする気持ちを失わず、いつまでも○○らしくいてください。