「現代朝鮮史」


「朝鮮学校 拉致事件「反省」は方便か」:イザ!





2010/03/13 07:24更新



 【主張】



 朝鮮学校の高校無償化問題に絡み、同校で使われている教科書の内容が明らかになってきた。



 予想されたことではあるが、故金日成主席、金正日総書記父子を神格化し、北朝鮮の政治思想である「主体思想」や軍をすべてに優先させる「先軍政治」などをたたえる一方的な内容である。



 とりわけ問題なのは、「現代朝鮮史」の日本人拉致事件に関する記述だ。小泉純一郎元首相が平成14年9月に訪朝したことを「反共和国(北朝鮮)孤立圧殺の策動が危機にひんした」ためだと説明し、「朝日平和宣言(日朝平壌宣言)発表以後、日本当局は『拉致問題』を極大化し、反共和国、反総連、反朝鮮人騒動を大々的に繰り広げた」と書いている。



 拉致問題では、14年9月の日朝首脳会談で金正日総書記が拉致の事実を認めて謝罪して以降、朝鮮総連も「絶対に許されない犯罪行為」(徐萬述議長)と謝罪し、朝鮮学校の教科書も翌年度から改編されたといわれていた。だが、現行の18年初版発行の教科書の記述には、「拉致は犯罪」との認識は全く見られない。



 朝鮮学校の教科書は最終的に金総書記の決裁を仰いでいるといわれる。これでは、北朝鮮や総連が本当に拉致事件を謝罪し、反省しているのか極めて疑問だ。



 「現代朝鮮史」は核・ミサイル問題についても、日本当局や言論機関が「総連を瓦解させようとする謀略宣伝を敢行した」などと書いている。



 また、朝鮮総連が朝鮮学校の幹部らに高校無償化の獲得運動を指示していたことも、総連の内部文書で分かった。総連は北の統一戦線部に直結する組織としてさまざまな工作活動に関与してきた。



 北と総連の強い政治的影響を受け、拉致問題などで日本を敵視する教育を行っている学校に無償化を適用し、公金(就学支援金)を支給することは、国民感情だけでなく、国益にも反しよう。



 高校無償化法案は12日の衆院文部科学委員会で可決され、年度内に与党などの賛成多数で成立する見通しだ。朝鮮学校を対象に含めるか否かは、文科省など政府側の検討に委ねられる。



 鳩山由紀夫首相は「教科の内容で判断しない」としているが、内容が肝心だ。教科書の中身や北朝鮮、総連との関係をしっかり把握したうえで、国益を踏まえた判断を求めたい。