カフェーで女給として 17日間働いて、3.15に帰宅した

昭和10年(1935).2.27〔東郷元帥の孫娘(満17歳)が家出してカフェーで女給〕

 東京市麹町区の自宅から、東郷平八郎元帥の孫娘で侯爵の長女である女子学習院3年生(満17歳)が家出、浅草のJL喫茶店というカフェーで女給として
17日間働いて、3.15に帰宅した。3月の卒業までに提出しないといけない宿題のことで両親に叱られると思い、また家がおもしろくないことから家出し
て、青山加津子と偽名を名乗り、学生、とくに慶応ボーイが好きで明るく朗らか上品なサービスをしたため「かつンべい」と呼ばれて学生に人気があり、学生で
ない者もモテようと学生の振りをして近づいた。新聞に家出人として写真が載ってバレそうになったため円タクで帰ったもの。東郷元帥は1年前の5.30に亡
くなっている。

 父侯爵しみじみ語る「お金を少ししか持っていきませんでしたから、ダンサーか女給かと考えました、華族といっても若い娘にはそんな階級観念は持っており
ません。(中略)今度の事件から私は苦悩と心痛のうちに呼び起こるものは若い者の時代を知れということです、私達は自分の経験から万事割り出して考えます
がそれは時代を忘却していると思います。遥かな若い者の時代には親は常に近づいてゆく用意と寛容を持たねばならぬことを教えられました。これからは娘のこ
ともよく聞いて手を取り合うように生きて行くつもりです。華族として世間をお騒がせした責任は重々感じております。謹慎をして子供を導き明るく生きたいと
思っています。近代娘は不可解だ、あきれたものだの一点張りではこれからの親は落第です。そんことをしみじみ考えさせられました。世の親たる人は私の子の
ことをよく見られてお子さん方の導き方に思い当たる節でもありましたらなら私は心から喜ぶ次第です」










少年犯罪データベースドア

なかなか父侯爵の発言が趣深い