高度成長期やバブル期に単に上昇軌道に乗っただけの今の大人たちよりも

 高度成長期やバブル期といった日本経済の成長ステージではなく、世の中にわかりやすい変化が少なくなった成熟ステージに育った今の若者たちにとっ
て、どんどん生活レベルが上昇していく、かつての「上がる」状況はもはやあこがれの対象ではありません。とはいえ、格差時代に「下がる」ことだけは避けた
い――。結果、彼らにとっては最も安定感のある「普通」こそが、理想の状態になっているのです。


 この時代背景を理解していない大人たちはよく、「近ごろの若者が上昇志向を持たなくなった」と批判的に語ります。ですが、これは大きな間違いです。


 経済が成長を続ける時代は、乱暴に言えば、大した努力をしなくても、ある程度多くの人たちが上昇軌道に乗れました。こうした状況と「上昇志向を持つ」のは根本的に違うと思います。


 現在のように経済が下降していくなか、親からもらった生活レベルを必至で維持することのほうが、高度成長期やバブル期に単に上昇軌道に乗っただけの今の大人たちよりも、実は上昇志向が高い、とも言える時代がやってきているのかもしれません。











“一見普通”の女子大生がオピニオンリーダーに? 今の若者は「普通」にあこがれる―― - ヒット研究所 - 日経トレンディネット