許婚を拒否して自分の好きな相手と駆け落ちするという


「萌え」に関するもう一つの特徴に、受動性がある。「萌え」では、現実を自
分で切り開いていくことより、現実を受け入れて自分をそこに合わせていくこ
とに重点が置かれる。



たとえば、自分の前に突然、小さいころ親が勝手に決めた許嫁が現れる。普通
の話なら、たいていは許婚を拒否して自分の好きな相手と駆け落ちするという
ようなシナリオになるのだが、萌えの場合は逆に、勝手に決められた許婚を受
け入れてしまう。



上では「現実」と書いたが、彼らが現実だと思っているものは、実は「価値観」
である。「現実を受け入れる」という言葉を、彼らは「社会の価値観を受け入
れる」という意味で使う。彼らは、自分の価値観を持つことができないのだ。
そして、価値観こそが「現実」だと思ってしまっている。価値観の話は後で書
くことにするが、言葉の意味が違うことをあらかじめ断っておく。











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