具象を抽象化し、抽象で解いて具象に戻す

長らく数学は物理学の難題を解くために発展してきた。「数学で数学の問題を解く」ようになったのは近年の傾向であり、それまで数学というのはむしろ
物理を読み解くための道具だったのだ。具象を抽象化し、抽象で解いて具象に戻す。そのおかげで物理の難題の多くがすらすらと—数学者が言うところのエレ
ガントに—解けるようになった。


そのおかげで、今や我々は数学で物理を解くのに慣れっこになっている。「数学化してから解く」訓練を、我々は小学校から受ける。本書にも登場する電
気抵抗の問題も、娘はそうやって解いている。


しかしその強力なアプローチは諸刃の剣でもある。本来直感的で具体的な物理学が、数学化を経由することにより観点的で抽象的なものと感じられるよう
になってしまうのだ。数学嫌いはほぼ間違いなく物理嫌いでもあるが、その逆が真とはならない—数学好きの物理嫌いが少なくない—のはそのためかもしれ
ない。











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