ボストンやシリコンバレーだと、もっと敷居が低くなる


どんだけマッチョじゃないと起業できないんだ、日本は。 - My Life in MIT Sloan - BLOGOS(ブロゴス) - livedoor ニュース



1. 企業に就職するのは面白くない、上司が嫌だから、というのは起業動機として不十分か?

2年もアメリカに住んでいると−しかもボストンだのシリコンバレーだの、起業家の街に住み、そのコミュニティの中核であるベンチャーやビジネススクールで働いてると、「上司に仕えるのは嫌だ」という「逃げてる」理由で、起業する人をたくさん見かけるので、それが普通になる。

私がボストンやシリコンバレーで会ってきた100人以上の起業家や学生の5割は「会社づとめが嫌い」「大きな組織が嫌い」という理由で起業を考えていた。(残り5割は、「縁があった」「そのほうが儲かると思った」「技術が大企業にRejectされた」など)

起業するのに、そんなすごい理由や覚悟は、本来必要ないはずなのだ。やっているうちに、徐々にやりがいとかが見えてきて、理由が見つかってくる。社員を何人も抱えるうちに、覚悟が生まれてくる。そういうもんじゃないの?

ところが、大企業に就職し、出世街道に乗ることが成功と認定される日本の「世間」では、その道を外れることに、最初から相当の覚悟と理由を強いられる。それだけの覚悟なしに、若者が起業したいというのは「甘い」「逃げている」と思われる。これが「発言小町」の反応に凝縮されていたのではないかと思う。

Willyさんなりきる大学三年生が提案したのは「地元の老人たちに弁当を宅配する弁当屋さん」。これも、ボストンだったら、「ふーん、うまく行くかはわからないけど、まあやってみたら?」程度のレベルで、別にそこまで否定するものでもない。ビジネスとして規模拡大するのは困難を伴うだろうが、家族経営規模ならいいんじゃないでしょうか、って感じだ。

しかし「発言小町」での回答には、「資本金のこと考えてる?大丈夫?」「そんなビジネスで本当にうまく行くの?ちゃんと考えてる?」「そんなの凡人の私でも思いつく。大丈夫か?」「銀行は経験のない学生にはお金を貸しませんよ?」というものが目立つ。

つまり、今の日本は練りこまれたビジネスプランと資金調達策がなければ起業できないのだ。ベンチャーキャピタルや起業家コミュニティみたいな、起業を手助けしてくれるリソースが余りに少ないからだ。最初から練りこまれたプランを持ち、資金調達元が見えている人じゃないと成功しないってことなんだろう。これが、ボストンやシリコンバレーだと、もっと敷居が低くなる。

別にアメリカだって、年功序列じゃないけど、年齢が低いとバカにされるって多々ありますよ?だから、若手起業家はひげを生やしたり、少しでも年上に見られるようにするし、みんな年齢をひた隠しに隠します。アメリカの起業家コミュニティじゃ、女性に対してだけでなく、男性に対しても年齢に関する質問はご法度です。それでも、「この起業家と一緒にやれば可能性がある」と言う人には人がつくんです。

「凡人でも、マッチョじゃなくても起業できる国にする」

これが、今後の日本の経済成長の鍵のひとつだと思う。